会議中、上司の話も上の空で机の下のスマホをチラリ。
友人とのランチ中、「ちょっとトイレ」と席を立ち、個室で株価をチェック。
夜中にふと目が覚め、枕元のスマホに手を伸ばし、アメリカ市場の動向に一喜一憂…。
もし、この描写に心当たりがあるなら、あなたはかつての私と同じ「ポジポジ病」に陥っている可能性が非常に高いです。
こんにちは!ぐーです。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!
今でこそ落ち着いて投資と向き合っていますが、数年前の私は、まさにこの病の渦中にいました。常にポジションがないと不安で、合理的な理由もなく売買を繰り返し、日々の集中力も、大切な資産も、そして心の平穏も、すべてをすり減らしていくような毎日。
ある夜、急落した株価を見て、思わず「もう株なんて見たくない…」と呟きながらスマホをベッドに投げつけたことがあります。あの時の絶望感と自己嫌悪は、今でも忘れられません。
でもその悪循環は、正しい知識と具体的な行動で、断ち切れます。
この記事では、私自身が地獄のような日々から抜け出すために実践し、効果があった「5つの具体的な処方箋」を、私の経験を交えながらお伝えします。
なぜ、株価チェックをやめられないのか?
まず、自分を責めるのはやめましょう。ポジポジ病は、自分の意志が弱いからではありません。人間の脳に組み込まれた、抗いがたい「2つの心理的ワナ」が主な原因です。
- ドーパミン報酬系: 株価が上がった時の「やった!」という高揚感。あれは脳内で快楽物質「ドーパミン」が放出されることで起こります。脳がこの快感を覚えてしまうと、ギャンブルのように「もっと、もっと」と刺激を求め、根拠のない売買を繰り返してしまうのです。
- プロスペクト理論: 人間の脳は、「1万円を得る喜び」よりも「1万円を失う苦痛」を2倍以上も強く感じるようにできています。この「損失回避性」が、株価の少しの下落にも過剰に反応させ、パニック的な「狼狽(ろうばい)売り」を引き起こすのです。
この2つの原因が、「高値掴みと狼狽売り」という、資産を減らす典型的な負のループに閉じ込めています。
さらに、見落としがちなのが「売買手数料」というサイレントコストです。
例えば、1回の取引手数料が500円だとして、1日に「買って売る」を2回繰り返したとします。
- 1日の手数料:500円 × 4回 = 2,000円
- 1ヶ月(20営業日)の手数料:2,000円 × 20日 = 40,000円
- 1年間の手数料:40,000円 × 12ヶ月 = 480,000円
年間48万円。これが、利益を出す以前に、資産から静かに消えていきます。年利5%で運用しても、元本が約1000万円ないと稼げない金額です。この事実を、まず直視することが第一歩です。
では、この悪循環から抜け出すための具体的な処方箋を見ていきましょう。
【処方箋①】感情に流されないための「客観的な投資ルール」
最初の処方箋は、自分の感情ではなく、客観的な基準で行動するための「投資ルールの明文化」です。衝動的な売買を防ぐ最も効果的な方法です。
<ルール作成のポイント>
- 買う条件を数値化する: 「なんとなく良さそう」ではなく、「配当利回り〇%以上」「自己資本比率〇%以上」など、誰が見ても判断できる基準にする。
- 売る条件も明確にする: 「怖くなったから」ではなく、「減配が発表された時」「株価が購入時の2倍になったら半分だけ」など、事前に売却シナリオを決めておく。
- 紙に書き出す: スマホのメモではなく、物理的な紙に書き、PCの横など目につく場所に貼ります。感情的になった時、その紙が冷静な自分に引き戻してくれます。
これは、感情という荒波の中で道を見失わないための「海図」です。この海図があるだけで、航海(投資)の安定度は劇的に変わります。
【処方箋②】投資スタイルの根本的見直し
毎日株価が気になるのは、短期的な値上がり益を狙う「狩猟型」の投資をしているからかもしれません。日々の獲物(値上がり益)を追いかけるのは、精神的に疲弊します。
そこで提案したいのが、「農耕型」の投資スタイルへの転換です。
具体的には、「高配当株投資」や「インデックス投資」といった、長期的な視点に立つ手法です。良い土地(優良企業や市場全体)に種をまき(投資し)、日々の天候(株価)に一喜一憂するのではなく、じっくりと収穫の時期(配当や資産の成長)を待つ。
このスタイルは、「株価が下がっても配当がもらえる」「経済全体が成長すれば資産も育つ」という安心感を与えてくれます。むしろ、株価が下がった時を「良い土地を安く買い増せるチャンス」と捉えられるようになり、精神状態が180度変わりますよ。
「こんなやり方、つまらなさそう…」と感じた方は、狩猟型にどっぷり浸かっている可能性大です!
【処方箋③】意図的に作る「デジタル・デトックス」の時間
意志の力だけでスマホを触らないようにするのは困難です。そこで、意図的に「仕組み」で解決します。
- スマホのホーム画面から証券アプリを消す(深い階層のフォルダに移動させる)。
- 株価アプリやニュースサイトのプッシュ通知をすべてOFFにする。
- 証券口座をチェックする時間を決める(例:1日の終わりに1回だけ、など)。
目的は「アクセスを少しだけ面倒にすること」です。
このわずかな手間が、無意識にアプリを開く行動の強力な抑止力になります。そうして生まれた時間こそ、私たちが本当に大切にすべき、趣味やスキルアップ、家族との時間になります。
【処方箋④】意識の焦点を「入金力」に合わせる
投資で長期的に成功するために最も重要な要素は、日々の株価変動を読むスキルよりも、「継続的な入金力」です。
株価は私たちにはコントロールできません。しかし、自分の収入や支出は、努力次第でコントロール可能です。
金融庁の「つみたてシミュレーター」を使えば、そのインパクトは一目瞭然です。
例えば、毎月コツコツと3万円を積み立てるのと、本業や副業、節約を頑張って5万円を積み立てるのとでは、20年後(年利5%想定)に約855万円もの差が生まれます。
株価を睨みつけて消耗するエネルギーを、スキルアップや副業、家計改善といった「入金力を高める活動」に使いましょう。こちらの方が、よほど確実で、資産形成を力強く後押ししてくれます。
【処方箋⑤】投資の「目的」を再確認する
最後の処方箋は、最も本質的な問いです。
「あなたは、何のために投資をしていますか?」
老後の安心、家族との旅行、自由な人生…その目的は、すべて「幸せになるため」だったはずです。しかし、ポジポジ病に陥ると、いつの間にか「お金を増やすこと」自体が目的化してしまいます。
投資は多くの人にとって、人生を豊かにするための、非常に優れた「ツール」です。ツールが人生の目的になってはいけません。
手帳の最初のページにでも、「私が投資をする本当の理由」を書いてみてください。そして、心がざわついた時にそれを見返しましょう。それだけで、株価という短期的なノイズから意識が離れ、もっと大きな視点で物事を考えられるようになります。
まとめ:今日からできる、着実な第一歩
ここまで、ポジポジ病という悪循環を断ち切るための5つの具体的な処方箋をお伝えしました。
- 客観的な投資ルールを明文化する
- 「農耕型」の長期投資へスタイルを見直す
- 意図的にデジタル・デトックスの時間を作る
- 意識の焦点を「入金力」に合わせる
- 投資の「本当の目的」を再確認する
大切なのは、これらを知識として知るだけでなく、実際に行動に移すことです。
すべてを一度にやる必要はありません。まずはこの記事を閉じた後、処方箋③の「スマホのホーム画面からアプリを消す」だけでも実践してみてください。20秒もあればできますよね。
そこが自分自身の心の平穏を取り戻す転換点になります。
焦らず、比べず、自分のペースで、着実に進んでいきましょう!
「でもやっぱり投資って難しそう…」と一歩踏み出せずにいませんか?
最初の一歩は、難しい本より、まずはマンガで楽しく学ぶのが私のおすすめです。

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