M&A(企業買収)が多い業界は儲かる?90点の成長期待と、120点のリスク回避術

【迷ったら原点へ】本質を見抜くための投資哲学
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こんにちは!ぐーです。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!

「〇〇業界で大型M&A(エムアンドエー)が成立!」

こんなニュースを見ると、

  • 「この業界は今キテる!」
  • 「関連する株を買ったら儲かるかも?」

と、心がワクワクしますよね。

特に、20代・30代でこれから資産を作っていこうと考えている人にとって、その「成長の匂い」はとても魅力的に映るはずです。

もし銀行に預けていても、金利は0.2%。

100万円預けても、1年で増えるのはたった2,000円です。

  • 「このままじゃ将来が不安だ…」
  • 「もっと効率よく資産を増やしたい!」

そう考えるのは、ごく自然なことです。

では、ニュースで騒がれている「M&Aが活発な業界」の株を買うのは、本当に賢い選択なのでしょうか?

結論から言うと、「M&Aが活発」という理由だけで投資するのは、非常に危険です。

実は大きな落とし穴(リスク)が隠されている可能性があるからです。

この記事では、なぜM&Aが「成長」と「リスク」の両面を併せ持つのか、そして私たち個人投資家、特に初心者が、そのニュースをどう読み解き、どう行動すればいいのかを、できるだけ分かりやすく解説していきます。

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そもそも「M&A」って何? なぜ企業は買収するの?

まず、基本の「キ」からおさらいしましょう。

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略です。簡単に言えば、「他の会社を買ったり、一緒になったりすること」ですね。

では、なぜ企業は多額のお金を使ってまで、他の会社を買収するのでしょうか?

端的に言うと「時間をお金で買う」ためです。

  1. 事業規模の拡大(スケールメリット)
    同業他社を買えば、一気にシェアを拡大できます。地道に営業するより、ずっと早いですよね。
  2. 新規事業への参入
    まったく新しい分野(例えば、IT技術や環境技術)にゼロから参入するのは大変です。すでに技術や顧客を持っている会社を買ってしまえば、すぐにその事業を始められます。
  3. 技術や人材の獲得
    優秀なエンジニアや、特殊な特許技術が欲しい場合、会社ごと買収することがあります。

これらをイチから自社だけでやろうとしたらどれだけ時間がかかるか…。

でも買収がうまくいくと、「1 + 1 = 3」になるような「シナジー(相乗効果)」が生まれ、企業の成長は一気に加速します。

これが、M&Aが「成長期待(90点)」と言われるゆえんです。

ニュースでM&Aが活発な業界(例えば、IT、製薬、人手不足に悩む業界など)を見ると、「ああ、今この業界は大きく変わろうとしているんだな」と分かります。


期待の裏に潜む「120点のリスク」とは?

しかし、投資家目線で見たとき、M&Aは「成長期待」よりも大きな「リスク」をはらんでいるケースが少なくありません。

特に初心者の皆さんに知っておいてほしい、3つの大きなリスクがあります。

リスク1:高値掴み(高すぎる買い物)

M&Aは「買いたい会社」と「売りたい会社」の交渉ですが、人気のある会社には他のライバルも「買いたい!」と手を挙げます。

すると、競争になって買収価格がどんどん吊り上がることがあります。

「ここまで来たら引けない!」と、企業の経営者が本来の価値よりもはるかに高い金額で買ってしまうわけです…。

そして想定以上に買収に多額の資金がかかったことが減益の要因になったと決算発表で明らかになることもよくあります。

これは、私たち個人投資家が、話題の株に飛びついて高値で買ってしまう「高値掴み」とまったく同じです。

リスク2:PMIの失敗(買ったはいいが、うまく経営できない)

M&Aで最も難しいのが、PMI (Post Merger Integration)、つまり「買収した後の経営統合プロセス」です。

昨日までライバルだった会社や、まったく文化の違う会社が、今日から「同じグループです。仲良くしましょう」と言われても、すぐには馴染めませんよね。

  • 「あっちの会社の給料のほうが高くて不公平だ!」
  • 「仕事の進め方が全然違う…」
  • 「大事なシステムが統合できない!」

こうした問題が噴出し、現場が混乱するのは残念ながらよくある事。結果、1+1が3になるどころか、2にも満たないケースも多いのです。

リスク3:最大の爆弾「のれん(Goodwill)」

これが、初心者の方に一番知ってほしい、会計上の「リスク」です。

のれん(暖簾)」とは、簡単に言えば「買収した会社の純資産(本来の価値)と、実際に支払った金額(買収価格)との差額」です。

例えば、

A社が、純資産(価値)が100億円のB社を、「B社のブランド力や技術はすごいぞ!」と期待して、150億円で買収したとします。

この差額の50億円が、「のれん」としてA社の資産に計上されます。

(「のれん」という名前の通り、目に見えない「ブランド力」や「期待値」のようなものです)

ここからが重要です。

日本の会計ルールでは、この「のれん(50億円)」を、一定期間(例えば10年)で「償却(しょうきゃく)」しなければなりません。

つまり、10年償却なら、毎年5億円(50億円 ÷ 10年)ずつ、「費用(コスト)」として計上し続けるのです。

買収がうまくいって、毎年5億円以上の利益を生み出せれば問題ありません。

しかし、もしPMIが失敗して、期待したほど利益が出なかったら?

もともとの利益が、「のれん償却費」によって圧迫され、決算が赤字になってしまうこともあります。

さらに、米国会計基準などでは、「この買収、失敗だったかも」と判断された瞬間に、この「のれん」の価値を一気に減額(減損処理)します。

そうなると、ある日突然、数百億円規模の「特別損失」が発生し、株価が大暴落…なんてこともあり得ます。

つまり、M&Aが活発な業界は、この「のれん」という見えない爆弾を抱えている会社が多い、とも言えるのです。

期待とリスクは表裏一体。
最近だとニデックがM&Aから端を発し、11月には不適切会計でストップ安になるなど色々と話題ですね…。


私の投資スタイルとM&Aの付き合い方

では、M&Aのニュースを、私のような(高配当株・インデックス投資がメインの)投資家はどう見ているのでしょうか。

高配当株投資家としての視点

高配当株投資家にとって、M&Aは「警戒シグナル」であることが多いです。

なぜなら、M&Aには莫大な「現金(キャッシュ)」が必要だからです。

  • 会社が貯め込んだ現金を、株主への「配当」ではなく、「買収」に使ってしまう。
  • 現金が足りず、「借金(有利子負債)」をしてまで買収する。

どちらのケースも、配当金を出す余力を減らすことにつながります。

借金が増えれば、財務の健全性も悪化します。

「成長のための投資だ!」と言えば聞こえはいいですが、配当を重視する私にとっては、「そのM&A、本当に成功するの? 財政悪化したら困るんだけど…」と、かなり慎重にチェックします。

インデックス投資家としての視点

一方で、インデックス投資(市場全体に投資する手法)は、M&Aのニュースと非常に相性が良い、と私は考えています。

M&Aが活発な業界。そこには、これまで挙げたように、買収に成功して大化けする企業(A社)もいれば、失敗して業績が悪化する企業(B社)もいます。

初心者のうちからA社とB社を正確に見分けるのは、至難の業です。

しかし、その業界全体、あるいはTOPIX(東証株価指数)のような市場全体のインデックス・ファンド(投資信託やETF)を買っておけばどうでしょう?

  • A社が成功すれば、その成長の恩恵を受けられます。
  • B社が失敗しても、他のたくさんの会社がカバーしてくれます。

つまり、インデックス投資は、M&Aという業界再編のダイナミズム(成長の果実)を、個別の失敗リスクを分散させながら享受できる、最も賢い方法の一つです。

つまり、インデックス投資の場合、何も気にしなくていいということです。ひたすら放置。


M&Aニュースが出た時、あなたはどう動くべきか?

あなたが将来のために投資を始めよう、あるいは始めたばかりだとして、M&Aのニュースに触れた時、取るべき「3つのステップ」を紹介します。

ステップ1:踊らない。まずは「なぜ?」を考える

ニュースを見て、「買いだ!」とすぐに証券アプリを開くのはやめましょう。

まずは一呼吸置いて、「なぜこの会社は、あの会社を買うんだろう?」と理由を想像してみましょう。

ステップ2:お金の出どころ(財務)をチェックする

少しレベルが上がりますが、もし個別株に投資するなら、「どうやって買うのか?」は最低限チェックしたいポイントです。

新聞や企業の決算資料(初心者向けの説明資料でOK)を見て、

  • 「手元の現金で買うのか?」
  • 「借金(有利子負債)が増えるのか?」
  • 「どれくらいの『のれん』が発生しそうか?」

を確認します。

ステップ3:「難しい」と感じたら、インデックス投資に徹する

M&Aの分析は、プロの投資家でも判断が分かれる、非常に高度な分析です。

もしあなたが、「ステップ2は難しすぎる」「リスクがよく分からない」と感じたなら、それは正しい感覚です。

分からないものに大切なお金を投じる必要はありません。

インフレ率に負けないリターンを目指しつつ、M&Aのような個別のリスクを避けたいのであれば、全世界株式やS&P500、TOPIXといったインデックス・ファンドへの積立投資を継続すること。

これが、20代・30代にとって、現時点で最も「120点」に近い、再現性の高い戦略だと私は信じています。

まとめ:M&Aは「買い」シグナルではなく、「要勉強」シグナル

M&Aが活発な業界は、確かに「変化の時」を迎えており、大きな成長の可能性を秘めています。

しかし、それは同時に「高値掴み」「PMIの失敗」「のれんという爆弾」といった、非常に大きなリスクも抱えていることを意味します。

M&Aのニュースは、「今が買いだ!」というGOサインではありません。

「この業界、今すごく動いているぞ。でもリスクも高いから、よく勉強して注意してね!」という黄色シグナルです。

私たち個人投資家は、そのリスクを無理して取る必要はありません。

特に投資を始めたばかりの頃は、個別企業のM&Aの成否に一喜一憂するよりも、市場全体の成長の恩恵を受けられるインデックス投資をどっしりと続けることが、将来の資産形成への一番の近道です。

この記事が、あなたの投資勉強の参考になったら嬉しいです。

一緒に楽しく、資産形成を続けていきましょう!

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「でもやっぱり投資って難しそう…」と一歩踏み出せずにいませんか?

最初の一歩は、難しい本より、まずはマンガで楽しく学ぶのが私のおすすめです。

この記事を書いた人
ぐー

手取り15万円の会社員でも、年間100万円以上の節約・資産管理・スキルアップで新NISAで年間360万円投資し、iDeCoもフル活用しています。日商簿記3級持っています。

このブログでは、私が実践してきた節約術やリアルな資産運用、稼ぐ力を高めるITスキルについて発信しています。

生活を豊かにしたくて、高配当株投資で年間配当金60万円をめざしています。現在は年間配当金25万円以上達成!

ゲーム・漫画・アニメなどが好きです。
一緒に資産形成をがんばりましょう!
よろしくお願いします!

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