「将来のために、NISAで積立投資を始めようと思うんだ」
意を決して家族にそう伝えたとき、返ってきたのは想像もしなかった言葉…。
「投資なんて危ないからやめなさい!」
「汗水垂らして稼いだお金を、そんなギャンブルみたいなことに使うなんて…」
「昔、株で大損した人がいてね…」
期待していた応援とは真逆の、強い反対。
せっかく未来のために一歩踏み出そうと思ったのに、一番身近な家族に理解してもらえない。これ、めちゃくちゃショックですよね。
私も投資を始めた当初、同じような経験をしました。
でも、家族が反対するのは、あなたのことを大切に想い、心配しているからこそ。決して、あなたの未来を邪魔したいわけじゃないはずです。
この記事では、投資に反対する家族の心理を解き明かし、対立するのではなく、お互いが納得できるゴールに向かうための具体的な5つのステップをお伝えします。
なぜ家族は投資に反対するの?その3つの理由
まず、相手を説得する前に、なぜ家族が反対するのか、その気持ちを理解しようとすることが大切です。
主な理由は、大きく分けて3つあります。
1. 「投資」=「投機(ギャンブル)」という誤解
特に親世代にとって、「投資」と聞くと、バブル崩壊やリーマンショックで大損した人のニュースや、デイトレードで一攫千金を狙うようなギャンブル的なイメージが強い場合があります。
私たちがやろうとしている「長期・積立・分散」を基本とした「資産形成のための投資」と、短期的な価格変動で利益を狙う「投機(ギャンブル)」が、ごちゃ混ぜになってしまっているのです。
2. 過去のネガティブな経験や知識不足
「知り合いが株で失敗した」「昔、大損した」という話を聞いたことがあるのかもしれません。
あるいは、投資について学ぶ機会がなく、単純に「よくわからない怖いもの」と感じている可能性も高いです。
人間は、自分が理解できないものに対して、恐怖や拒否反応を示しやすい傾向があります。あなたを守りたい一心で、「やめておけ」と言っているのかもしれません。
3. 「貯金こそが正義」という価値観
日本の古き良き時代は、銀行にお金を預けておけば年利5%や6%で増えるのが当たり前でした。郵便局に貯金しておけば安心、という成功体験が体に染み付いています。
しかし、現代の金利はご存知の通り。例えば、大手メガバンクの普通預金金利は年0.2%(2025年12月時点)。100万円を1年間預けても、税引き後の利息はすずめの涙。昔のままの感覚でいる場合、「わざわざリスクを取る必要はない」と考えてしまうのも無理はないでしょう。
ケンカせずに想いを伝える!説得のための5ステップ
ご家族の気持ちが少し理解できたところで、いよいよ具体的なアクションプランです。感情的に「なんでわかってくれないんだ!」とぶつかるのは逆効果。一つずつ、丁寧に進めていきましょう。
ステップ1:まずは「聞く」。相手の不安をすべて吐き出してもらう
一番やってはいけないのが、いきなり「それは違う!」と反論すること。
まずは、相手のターンです。
「投資のどんなところが心配?」「何か怖いイメージがある?」と優しく質問し、相手が抱えている不安や疑問を、遮らずに、否定せずに、すべて聞きましょう。
「うんうん、そうなんだね」「なるほど、そういうことが心配なんだね」と相槌を打ちながら、共感の姿勢を示すことも大切です。
相手は「自分の心配を理解してくれた」と感じ、あなたの話を聞く準備が整います。
ステップ2:「なぜ投資をしたいのか」という目的(Why)を共有する
次に、あなたのターンです。しかし、ここでいきなり「S&P500が〜」とか「オルカンは〜」といった専門用語を話してはいけません。
伝えるべきは、「なぜ、あなたが投資をしたいのか」という目的です。
- 「老後2000万円問題とか言われてるけど、将来お金で苦労したくないし、家族に迷惑をかけたくないんだ」
- 「10年後に、家族みんなで海外旅行に行くのが夢なんだ。その資金を少しでも効率よく準備したくて」
- 「子どもがやりたいことを見つけたときに、『お金がないから』という理由で諦めさせたくないんだよ」
投資はあくまで手段。その先にある、幸せな未来のイメージを共有することが、心を動かす鍵になります。
もちろん、自分個人のための場合でも、趣味に充てるお金を増やしたいなど目的を話しましょう。
ステップ3:客観的なデータで「安心」をプレゼントする
目的を共有できたら、次は「安心材料」を提供します。ここで初めて、客観的なデータや事実の出番です。
- 金融庁も推奨している制度(NISA)を使うことを伝える
「国が『貯蓄から投資へ』をスローガンに作った、非課税制度(NISA)を使って始めようと思ってるんだ。金融庁のウェブサイトにも、資産形成の基本が分かりやすく書いてあるよ」と言う感じで話してみてはいかがでしょうか。「国が勧めている」という事実は、絶大な安心感につながります。
→金融庁 「NISAを知る」 - 「長期・積立・分散」がいかにリスクを抑えるかを説明する
「一社の株を一度に買うような危ないやり方じゃないんだ。世界中のたくさんの会社に、毎月少しずつ分けて投資するから、リスクを減らせるんだって」
と、インデックス投資の基本的な考え方を、分かりやすい言葉で伝えます。 - 預金との比較を見せる
「今の銀行預金だと、100万円を1年預けてもジュース1本も買えないほどの利息しかつきません。でも、もし年率5%で運用できたら、1年で5万円増える可能性があるんだ。もちろんリスクはあるけど、20年、30年という長い目で見ると、プラスになる可能性がすごく高いというデータがあるんだよ」
と、具体的な数字で比較すると、投資の必要性が伝わりやすくなります。
【非課税で増やす】NISA・iDeCoで賢く節税の記事を見る
ステップ4:「お小遣いの範囲」から「小さく始める」と宣言する
家族が一番心配なのは、「生活費までつぎ込んで、家計が破綻するんじゃないか」ということです。
その不安を取り除くために、こう宣言しましょう。
「まずは、毎月のお小遣いの中から1万円だけ、なくなっても生活に影響がない範囲で始めてみる」
この一言で結果はきっと変わります。
「家計には一切手を出さない」「リスクは自分でコントロールする」という強い意志表示になり、家族の不安を大きく和らげることができます。
ステップ5:定期的に状況を「正直に」報告する
実際に投資を始めた後ももし家族が不安そうなら、隠さずに状況を共有するのも選択肢の1つです。
- 「今月1万円入金して、今10,050円になってるよ」
- 「今月は世界的に株価が下がって、9,900円になっちゃった。でも、こういう時こそ安く買えるチャンスだから、淡々と続けるね」
プラスの時もマイナスの時も正直に話すことで、投資がいかにゆっくり進むものか、一喜一憂するものではないかが伝わります。
家族に話すことで、自分も冷静になれることもメリットの1つです。
まとめ:一番の味方は、時間とあなたの真摯な姿勢
家族に投資を反対されたとき、焦る必要はありません。
- まずは相手の不安を聞く
- 「家族の未来のため」という目的を共有する
- 客観的なデータで安心させる
- お小遣いの範囲で小さく始める
- 状況を正直に報告し続ける
この5つのステップを丁寧に踏めば、きっとあなたの想いは伝わります。
資産形成がマラソンのように長い道のりであるように、家族の理解を得るのにも時間がかかるかもしれません。でも、あなたの真摯な姿勢と、少しずつ増えていく資産という事実が、何よりの説得材料になります。
いつの日か、「あの時、始めておいて本当に良かったね」と家族で笑い合える日が来ることを、心から願っています。
未来への大切な一歩、自信を持って踏み出してください。応援しています!

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