「今月は配当金が〇万円入りました!」
「〇〇株で資産が+100万円に!」
SNSを開けば、きらびやかな投資の成功報告が目に飛び込んできます。「すごいな」と感心する一方で、自分のポートフォリオと見比べて、なんだか心がザワザワしてしまう。
「それに比べて自分は…全然増えてないな」
「もしかして、投資のやり方、間違ってる…?」
そんな風に感じて、SNSを見るのが少ししんどくなっていませんか?
わかります。 インデックス投資でコツコツ積み立てているのに、個別株で大きな利益を上げている人を見ると、「自分も挑戦すべきか?」と心が揺れ、高配当株投資で着実に配当を積み上げているのに、短期で資産を倍にした人の報告に焦りを感じること、ありますよね。
投資の世界にいると、どうしても「隣の芝生」が青く見えてしまう瞬間があります。でも、その感情は、投資に真剣に向き合っている証拠です。
そして、その「SNS疲れ」、実は多くの投資家が経験する道です。
今日は、そんな「お隣さん」が気になってしまう人に向けて、SNSとの上手な付き合い方をテーマに、自分のペースで着実に資産を築いていくための具体的な方法をお伝えします。
なぜ、私たちはSNSで疲れてしまうのか?
そもそも、なぜSNSを見ると心が疲弊してしまうのでしょうか。それには、SNS特有の2つの「ワナ」が関係しています。
ワナ1:そこは「成功体験」のショーケース
まず知っておいてほしいのは、SNSは「うまくいったこと」を発表する場所だということです。
少し考えてみてください。あなたがSNSに投稿する時って、どんな時ですか?
おそらく、旅行に行った時の楽しかった写真や、美味しいものを食べた時の感動をシェアすることが多いのではないでしょうか。
投資も同じです。大きな利益が出た時や、配当金がたくさん入った時は、嬉しくて誰かに伝えたくなります。一方で、含み損を抱えていることや、高値掴みしてしまった失敗談をわざわざ投稿する人は、ほとんどいません。
これを「生存者バイアス」と呼びます。成功した人の声ばかりが目立つため、あたかも「投資をすれば誰もが簡単に儲かる」かのように錯覚してしまうのです。
水面下には、うまくいかずに静かに市場から去っていった人や、今は耐え忍んでいる人がたくさんいることを忘れてはいけません。
ワナ2:「比較」という名の心の消耗
人間は、他人と比較することで自分の立ち位置を確認する生き物です。しかし、投資において、この「比較」は百害あって一利なし。
SNSで他人の「爆益報告」を見る
↓
自分の成績と比較して落ち込む
↓
「このままじゃダメだ」と焦る
↓
冷静な判断ができず、よく調べもしないで話題の銘柄に飛びついてしまう
こんな負のループに陥ってしまう危険性があります。投資の目的も、リスク許容度も、入金力も人それぞれ。走っているコースが違うマラソンランナーのタイムを気にして、自分のペースを乱してしまうようなものなのです。
「隣の芝生」の正体を知ろう【データで見る現実】
では、実際に個人投資家のリアルな成績はどのくらいなのでしょうか。SNS上の「億り人」は、本当にゴロごろいるのでしょうか。
日本証券業協会『個人投資家の証券投資に関する意識調査2025年(令和7年)』によると、30代以下で資産3000万円以上の人は、4.5%としかいません。ちなみに過半数が1,000万円未満です。
少なくとも「誰もが簡単に、ラクして儲かっているわけではない」ということはお分かりいただけると思います。
もし今、含み損を抱えていたとしても、それは決しておかしなことでもないのです。
私も保有している銘柄すべてがいつも含み益なんて状態ではなく、いくつかは含み損です。
個人投資家について、もっと詳しいデータを見てみたい人は、ぜひ上記のリンクから資料を見てみてください。
いろいろ参考になると思います。
SNS疲れを克服し、自分の資産を育てる5つの処方箋
では、どうすればこの「SNS疲れ」から抜け出し、心穏やかに投資を続けられるのでしょうか。私が実践している、5つの具体的な方法をご紹介します。
1. 「なぜ投資を始めたのか?」自分の軸を再確認する
まず一番大切なのが、自分自身の「投資の目的」を紙に書き出すことです。
- 「30年後に、2000万円の老後資金を作るため」
- 「5年後に、100万円貯めて海外旅行に行くため」
- 「毎月3万円の配当金をもらって、生活を豊かにするため」
目的は、なんでも構いません。大切なのは、「他人のため」ではなく「自分のため」の目標を明確にすることです。
自分のゴールがはっきりしていれば、「あの人は短期間で100万円稼いだけど、自分の目標は30年かけてコツコツ作ることだから関係ない」と、良い意味で割り切ることができます。
目指す方向やペースがしっかり見えていれば、迷うことはありません。
2. SNSを「見る」から「使う」へ意識を変える
SNSは、情報収集のツールとしては非常に優秀です。そこで、受動的にタイムラインを眺めるのをやめて、能動的に情報を「取りに行く」ツールとして活用しましょう。
- リスト機能を活用する: 「米国株」「日本高配当株」「経済ニュース」など、目的別にリストを作成し、見たい情報だけを効率的にチェックする。
- 「いいね」や「リツイート」は活用する: 自分に必要な情報だけにリアクションしていれば、アルゴリズムも自分にあったものにカスタマイズされていきます。もちろん自分で情報を選ぶことも大事です。
3. 「デジタルデトックス」で物理的に距離を置く
心が疲れている時は、思い切ってSNSから離れるのが一番です。
- 見る時間を決める: 「朝の通勤時間だけ」「寝る前の15分だけ」など、ルールを決めましょう。
- アプリの通知をオフにする: これだけで、無意識にアプリを開いてしまう回数が劇的に減ります。
- 週末はSNSを見ない: 週末は趣味や家族との時間に集中する、と決めるのも効果的です。
SNSがなくても、私たちの資産は勝手に減ったりしません。
むしろ、冷静な判断力が戻り、良い結果に繋がることの方が多いです。
4. 私の失敗談:買わなかった株の「爆益報告」が、一番心を蝕む
ここで少し、私の失敗談をお話しさせてください。 それは、実際に損をした話ではありません。むしろ逆です。大きな利益を「逃した」ことで、じわじわと心を蝕まれた、そんなお話です。
投資を始めて2年ほど経ち、自分なりに企業分析の真似事ができるようになった頃でした。私は、あるIT関連の企業に注目していました。業績は右肩上がりで、独自の技術も持っている。「これは将来、きっと大きく成長する」と、かなりの自信を持っていたのです。
しかし、当時の私は一歩踏み出す勇気がありませんでした。「もう少し株価が下がった、絶好のタイミングで買いたい」という欲や、「もっと他に良い銘柄があるかもしれない」という迷いから、結局「買うこと」を見送ってしまったのです。
その数ヶ月後でした。 その企業が発表した革新的な技術が評価され、株価はあっという間に急騰。私が買おうか迷っていた価格から、2倍、3倍…と、信じられない勢いで上昇していきました。
そして、私の心を何より深く抉ったのが、SNSでした。 タイムラインを開けば、「あの銘柄で資産が+〇〇〇万円!」といった、「爆益報告」の嵐。
それを見るたびに、心臓がぎゅっと掴まれるような感覚に陥りました。「あの時、もしボタンを押していれば、あの成功は自分のものだったのに…」と。
その強烈な後悔に囚われてから、私の投資は完全におかしくなってしまいました。
有望そうな銘柄を見つけても、「でも、あの銘柄ほどの完璧なリターンは期待できない」と買う気になれない。かといって、何もしなければ「また機会を逃してしまう」と焦る。過去の「たら・れば」に縛られるあまり、未来のための判断が何もできなくなってしまったのです。
この経験から私が学んだのは、「投資の世界に『たら・れば』はない」という、厳しいけれど大切な真実でした。
自分が選ばなかった未来を羨んでも、自分の資産は1円も増えません。大切なのは、過去の選択を悔やむことではなく、その経験から学び、「今、ここから、何ができるか」を考え続けることなのだと痛感しました。
この苦い経験があったからこそ、私は過去の幻影を追うのをやめ、目の前の投資に集中できるようになったのです。
ちなみにその後も何度も似たような経験をすることになるのですが、その話はまた今度…。
5. 記録をつけて「昨日の自分」と比べる
他人と比べるのではなく、比べるべきは「過去の自分」です。
- 投資額の推移
- 配当金の受取額
- 資産の増減
などを、簡単なものでいいので定期的に記録してみましょう。
「先月より1万円多く投資できた」「3ヶ月前より配当金が500円増えた」といった小さな成長を可視化することで、着実に前に進んでいることを実感できます。
この「小さな成功体験」の積み重ねが、長期投資を続ける何よりのモチベーションになります。
まとめ:あなたの投資は、あなたのもの
投資は、時に孤独な道のりです。
だからこそ、SNSで仲間と繋がりたい、情報を得たいと思うのは自然なことです。
しかし、SNSはあくまでツールであり、あなたの投資の主役は、他の誰でもない「あなた自身」です。
隣の芝生が青く見えたら、それは自分の心が「もっと成長したい」と願っているサインかもしれません。
ぜひ、そのエネルギーを他人への羨望ではなく、自分自身の投資の軸を太く、強くするために使ってみましょう。
- なぜ、投資を始めたんだっけ?
- 自分のゴールはどこだっけ?
- そのために、今やるべきことは何だっけ?
この問いを繰り返すことで、SNSの情報に振り回されることなく、着実に資産は育っていくはずです。
投資は、100m走ではありません。ゴールまでの距離もペースも人それぞれ違う、マラソンのようなものです。
周りの景色を楽しみながら、時には休み、自分のペースで、ゴールを目指しましょう!
「でもやっぱり投資って難しそう…」と一歩踏み出せずにいませんか?
最初の一歩は、難しい本より、まずはマンガで楽しく学ぶのが私のおすすめです。

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