『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』という本を紹介します。
- 「学生時代より何倍も稼いでいるのに生活に余裕がない・・・」
- 「こんなしんどいのが、あと何年も続くの・・・」
- 「給料少ない・・・」
- 「一生懸命がんばって働いても報われない・・・」
マルクスの『資本論』とをもとに、給料の構造が分かりやすく解説してあり、一労働者として具体的にどのような働き方をしていけばいいか本書に書かれています。
もう少し言うと、給料、ひいては資本主義の仕組みはサイコパス的で個人にやさしくないけど、個人でもできることありますよ!と教えてくれるのが本書です。
本書でも登場する『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)と内容は一部似てますが、本書はもう少し私みたいな「そもそも給料ってどうやって決まってるの?」というサラリーマンの目線まで下りてきてくれて、分かりやすいです。
就職しようとしている人も今働いている人も、自分の働き方を考えるきっかけになる本だと思います。
さっそくですが、大事だと思う本書のポイントを2つ紹介します。
- 給料は「明日も同じように働くために必要な経費」
- ストレスが小さく、資産になる仕事を選ぼう
資産になる仕事というのは、労働力としての「価値」が高い仕事のことです。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
1.給料は「明日も同じように働くために必要な経費」
さっそくですが、資本主義での給料は「明日も同じように働くための必要経費」というの事実だそうです。
明日も同じように働くには、
- ごはんを食べなきゃいけない
- 寝なきゃいけない
- 仕事着がなきゃいけない
など。
こうして「明日も働いてくれよ」と支払われているのが私たちの給料ということです。
専門的な言葉では、給料は「労働力の再生産コスト」というそうです。
「そんなことなくない?」「実際、業績良かったら給料増えるじゃないか」と思いませんか。私は思ってました。
しかし、がんばって2倍の成果をあげても、給料が2倍にならないのがサラリーマンです。
ここの仕組みがイマイチ私はわかってませんでした。

なんか、その、会社の取り分的な??コストがかかってる的な??
この2倍の成果をあげても給料が2倍にならないのは、給料の構造において、成果は”付加的なもの”にすぎないからとのことです。
つまり、給料は必要経費に対して支払われるもので、成果に対して支払われるものではないからというのが答えです。
たしかに成果をあげたら、給料ではなくインセンティブやボーナスという形で還元されることが多いですよね。
年収300万円でも1000万円でも生活に余裕があまりない理由というのも、この給料の構造が原因だそうです。
「年収1000万円あっても余裕ないの?」と私も衝撃だったのですが、高給であってもその仕事をするためのコストが高いため、余裕の具合はたいして変わらないそうです。(税金もお高いですからね・・・)
2.ストレスが小さく、資産になる仕事を選ぼう
給料を上げて満足度の高い働き方をするために、「どういう仕事を選べばいいのか?」「どういうふうに働けばいいのか?」も本書では解説されています。
ギュッとまとめると、ストレスが小さく、労働力としての「価値」を高められる仕事を選べばいいと本書では書かれています。
ふつう仕事の選び方・働き方って、
- 「得意な仕事を選びましょう」
- 「好きを仕事にしましょう」
- 「仕事で成果を出そう」
- 「効率化して短時間で仕事を終わらせよう」
ですよね。
こういう考え方、私もやっちゃってましたが、満足な働き方をめざすうえでは、本書ではオススメされていません。
得意や好きを仕事にしたら、成果を出して「優秀」になれるかもしれません。
しかし、成果は先ほど見てきた給料の構造上、反映されにくいものでしたね。
効率化はたしかに残業を減らし、プライベートの時間をつくる意味では効果があると思います。
しかし、サラリーマンは労働力のサブスクみたいなものなので、効率化しても次第に仕事が増えるだけです。

私も業務の自動化とかしていって、むしろ仕事が増えていきました
キャパを超えて大変な目にあったこともあります・・・
サラリーマンは働き方でコントロールできる部分が少ないですが、数少ないコントロールできる部分が「ストレス」になります。
なので、ストレスが小さい仕事を選ぶのが1つポイントになります。
ストレスは個人の感じ方の問題だからです。
そして資産になる仕事として、伸びていなくても変化のスピードが遅い業界や会計知識や営業力が例に挙げられています。
こうした不変的かつ専門性が高い知識や技術を身につけていくことで、自分の労働力としての「価値」を高めていくことができます。
おわりに
あらためて今回紹介した2つのポイントがこちらです。
- 給料は「明日も同じように働くために必要な経費」
- ストレスが小さく、資産になる仕事を選ぼう
本書のタイトルでもある「働き方の損益分岐点」という考え方は、今流行りのFIRE(経済的自立)とはずいぶん異なります。
でも、「資産をつくっていこう」「他人にどう思われるかより自分がどう感じるかを大事にしよう」という方向性が似てるのが読んでいておもしろいなと思いました。
後者についてこれまで触れてこなかったので、ここでカンタンに紹介しますね。
例えばストレスの話は、要するに世間一般の感覚と自分の感覚とのギャップを探そうということです。
本書の最初に「資本主義」や『資本論』の解説があって、終盤は著者の見解という構成です。
そのため、序盤の理論立った公式的な話に「おお!なるほど!!」と読み進めていると、終盤「ん???」となってきます。
個人の感覚(主観)的な話にテーマが変わります。
「世の中では一般的にこう思われてるけど、あなたにとってはどうですか?」これがテーマになってきます。
これに対する自分の答えが「私は全然余裕だよ」「私は負担に思わない」とかだとGOOD!ということですね。
そもそも「満足」というのもかなり主観的なものですし、自分の価値観をしっかり把握することが大事という話になってくるわけですね。
逆にいうと、序盤の「資本論」の展開のような、論理的で誰にでも当てはまる絶対的な正解はないということですね。
「ストレスを小さく」と提案されていますが、働く中で精神的負担を軽減するには具体的にどうしたらいいのか?という点は本書では書かれていません。(メインテーマから逸れるからでしょうか?)
なので私の推測で恐縮ですが、働く上での精神的負担は例えば、
- 職場の人間関係、コミュニケーション
- 客(クレームなど)
- 仕事量
- 責任
あたりだと思います。
ここまで来るとかなり個人的な問題になってきますね。
私もまずは自分の価値観を明確にして、働くストレスを減らせそうなポイントはどこか?を把握するところからやっていこうと思います。
労働力としての「価値」を高めていく(資産を築いていく)のも、1年、2年の話ではなく、長期スパンでやっていけばいいとあります。
「難しい専門的なことわからないけど・・・」という私みたいな人向けに、まずはクラウドソーシングなどでどんなスキルが価値があるのかを知ることから始めようと提案があります。
労働においても、「投資」が重要ということですね。
本書を読んでいて、「節約」や「投資」で培った考え方を働き方に応用できる部分があるんじゃかないかと思いました。
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