こんにちは!ぐーです。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!
さて、今日のテーマは、投資初心者が陥りがちな「キラキラ高収益企業」の落とし穴についてです。
- 「すごい利益が出ている会社だから、株価もグングン上がるはず!」
- 「ROE(自己資本利益率)が高いから、この会社は”買い”でしょ!」
こんな風に考えたことはありませんか?
企業の収益性に着目するのは、素晴らしい着眼点です!でも、もし「収益性が高い」という理由だけで投資先を決めているとしたら…それは、将来の資産を危険に晒しているかもしれません。
実は、高い収益性の裏には「過剰投資」という、とてつもなく大きなリスクが隠れていることがあるんです。
どんなリスクがあるか、一緒に見ていきましょう!
そもそも「収益性が高い」ってどういうこと?
まずは基本の確認から。サクッと解説しますね。
企業の収益性を測るモノサシとして、投資家が特に注目するのが「ROE(自己資本利益率)」です。
ROE (Return On Equity) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
これは要するに、「会社が株主から集めたお金(自己資本)を使って、どれだけ上手に利益を生み出したか?」を示す指標。いわば、「お金の活用上手度」ですね。
ROEが高ければ高いほど、効率よく稼いでいる「優秀な会社」と言えます。
ちなみに、日本の主要企業のROEの平均値は8~10%と言われています。なので一般的に、ROEが10%を超えてくると優良企業と言われることが多いです。
「なるほど、じゃあROEが20%とか30%の会社は、超優良企業ってことだね!」
その通り!…と言いたいところですが、ここに大きな罠が潜んでいるのです。
「過剰投資」という名の時限爆弾
ROEが高い企業は、株主のお金を使ってたくさんの利益を生み出します。その結果、会社には毎年どんどん現金(利益剰余金)が貯まっていきます。
あなたならその貯まったお金をどうしますか?
- 事業をさらに大きくするために投資する(設備投資、M&Aなど)
- 株主への感謝として還元する(配当、自社株買い)
- とりあえず貯金しておく(内部留保)
健全な経営をしている会社は、この3つをバランス良く行います。しかし、時として経営者は「もっと会社を大きくしたい!」という野心や、「成長し続けなければ市場から見放される」というプレッシャーから、①の投資に偏りすぎてしまうことがあります。
これが「過剰投資」です。
具体的には、
- 将来の需要を読み間違え、売れる見込みの少ない工場を建ててしまう。
- 本業との関連性が薄い事業に手を出し、鳴かず飛ばずで赤字を垂れ流す。
- 高値で他社を買収(M&A)したものの、期待した相乗効果(シナジー)が全く生まれなかった。
といったケースが挙げられます。ニュースなどでもよく耳にしますよね。
特に工場建設は、大きなダメージにつながりやすいです。土地の購入や建設費はもちろん、設備投資にそこで働く人材確保(場合によっては住環境の整備)まで必要です。「やってみたけど失敗だった…」と分かった頃には手遅れです。売却するにも足元を見られ、そうそう良い条件で手放すことは難しいでしょうから。
過剰投資がもたらす悲劇のシナリオ
よって過剰投資は、まるで時限爆弾のように、後からジワジワと企業の体力を奪っていきます。
- 利益率の低下: 新規事業の失敗や過剰な設備が、会社全体の利益を圧迫します。
- 財務体質の悪化: 多額の借金(有利子負債)が経営の重荷になります。
- 将来の減損リスク: 投資した資産(工場や買収した企業)の価値が「想定より低い」と判断された場合、ある日突然、巨額の損失(減損損失)を計上しなければなりません。これは株価にとって強烈なネガティブサプライズです。
- 株主還元の減少: 投資に失敗してお金がなくなれば、当然、私たち株主への配当や自社株買いに回すお金もなくなります。
その結果、どうなるか?…もうお分かりですね。
株価は大きく下落し、最悪の場合、塩漬け株になってしまうのです。あんなに輝いて見えた高収益企業が、数年後には見る影もない…なんてことは、株式市場では日常茶飯事です。
【実践編】危険な兆候を見抜け!過剰投資チェックリスト
「じゃあ、どうすれば過剰投資の危険がある会社を見抜けるの?」
そこで見るべきは、企業の健康診断書である「決算書」です。これを読み解けば、そのサインを見つけられることもあります(※もちろん絶対ではありません)。ここでは、投資初心者でも実践できる3つのチェックポイントを紹介します!
よければ、証券会社のサイトやアプリで「決算短信」や「有価証券報告書」を開いて、一緒に確認してみてください。
チェックポイント①:キャッシュフロー計算書で「お金の流れ」を見る
キャッシュフロー計算書(C/F)は企業の「リアルな現金の動き」を示すもの。いわば、会社の家計簿です。
特に注目すべきは、以下の3つ。
- 営業キャッシュフロー(営業CF): 本業でどれだけ現金を稼いだか
- 投資キャッシュフロー(投資CF): 設備投資やM&Aでどれだけ現金を使ったか
- フリーキャッシュフロー(FCF): 営業CF + 投資CF (企業が自由に使えるお金)
【危険なサイン】
- 営業CFを大幅に上回るマイナスの投資CFが、何年にもわたって続いている。
- その結果、フリーキャッシュフロー(FCF)が毎年マイナスになっている。
これは、「本業で稼いだ以上のお金を、無謀な投資に突っ込んでいる」状態を示唆します。まるで、給料以上にお金を使ってしまう浪費家のようなもの。稼いでも稼いでも手元にお金が残らないため、いずれ銀行からの借入に頼らざるを得なくなり、経営が行き詰まるリスクが高まります。
逆に、FCFが長年にわたって安定してプラスの企業は、しっかりと稼ぎ、その範囲内で賢く投資ができている「堅実な企業」である可能性が高いです。
チェックポイント②:貸借対照表で「不気味な資産」を見る
次に、会社の財産リストである貸借対照表(B/S)を見てみましょう。ここでチェックするのは「のれん」と「固定資産」です。
のれんとは、M&A(企業の買収)の際に発生する「目に見えない資産」のことです。買収した会社の純資産額よりも、高く買った分の差額です。ブランド力や技術力などへの期待値とも言えます。
【危険なサイン】
- 総資産に占める「のれん」の割合が異常に高い(例えば20%以上など)。
- ここ数年で「のれん」の金額が急増している。
「のれん」は、あくまで「将来これくらい儲かるだろう」という期待値。もし買収した事業がうまくいかなかった場合、この「のれん」は価値のないものになり、ある日突然、巨額の減損損失として計上されます。過去には、有名大企業がこの「のれんの減損」で経営危機に陥った例も少なくありません。
また、「固定資産」の推移も要チェックです。売上高の伸び以上に、工場や設備などの固定資産が急増している場合、過剰な設備投資に走っている可能性があります。
チェックポイント③:経営者の「言葉」と「数字」を見比べる
最後は、少し上級者向けですが、非常に重要です。それは、経営者の発言を鵜呑みにしないことです。
決算説明会資料や中期経営計画で、経営者がどんな未来を語っているかを見てみましょう。
【危険なサイン】
- 本業との関連性がよくわからない新規事業を、次から次へと打ち出している。
- 「第二の創業」「コングロマリット化」といった、聞こえの良い言葉を多用している。
- 景気の良い話ばかりで、リスクについての言及がほとんどない。
もちろん、成長意欲は大切です。しかし、その威勢の良い言葉が、チェックポイント①で見たキャッシュフローなどの決算の「数字」と一致しているかを必ず確認してください。
言葉は威勢が良いのに、フリーキャッシュフローはずっとマイナス…なんて場合は、要注意です。
経営者は投資家に投資してもらうことも仕事ですからね。上手く乗せられて、データを無視して投資すると痛い目に遭うのでご注意ください。
資産を守る「真の優良企業」の見つけ方
では、逆にどんな企業が「過剰投資をしない優良企業」なのでしょうか。
私が考える「真の優良企業」の特徴は、「稼ぐ力」と「お金の使い方のうまさ」を両立している企業です。
- 明確な事業領域(得意分野)を持っている: あれこれ手を出すのではなく、自分の強みを深く理解し、そこに集中投資している。その結果、他社の追随を許さない状態になっていたら尚良し!
- 厳しい投資規律がある: 社内で「このくらいの利益が見込めないと投資はしない」という明確なルールを持っている。
- 株主還元に積極的である: 稼いだ利益を不必要に溜め込まず、配当や自社株買いを通じて、適切な範囲で、きちんと株主に還元する姿勢がある。これは、経営陣が「手元資金の使い道として、株主への還元が最も効率的だ」と考えている証拠でもあります。
高ROEでありながら、配当性向(利益のうち配当に回す割合)も安定して高い企業は、まさにこの理想形に近いと言えるでしょう。
まとめ
最後に、今日のポイントをまとめます。
- キラキラ高収益(高ROE)だけで投資判断するのは危険!
- その裏には、将来の株価を押し下げる「過剰投資」という時限爆弾が隠れているかも。
- 「キャッシュフロー計算書」「貸借対照表(のれん)」「経営者の言葉」をチェックして、危険な兆候がないか確かめる。
- フリーキャッシュフローが安定してプラスで、株主還元にも積極的な企業こそ、長期的なパートナーにふさわしい。
投資の世界では、派手なホームランを狙うよりも、「大きな失敗をしないこと」が、最終的に資産を築くための最も確実な道だと経験上信じています。
企業の表面的な数字や経営者の言葉だけに惑わされず、その裏側にあるストーリーを読み解く。これこそが、株式投資の面白さであり、醍醐味です。
この記事がその参考になれば、嬉しいです。
一緒にがんばっていきましょう!
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