「クソッ、なんでだよ…!絶対に取り返してやる!」
モニターに映し出された、まばゆいほどのマイナスの数字。
数時間前まで、週末の旅行の計画を立てていたはずの利益がすべて吹き飛んだだけでなく、大切なお金がごっそりとえぐり取られていく。
心臓が早鐘を打ち、指先は冷たいのに、額には汗がにじむ。
あなたも、こんな経験をしたことはありませんか?
こんにちは!ぐーです。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!
投資を始めたばかりの頃、私も同じように大きな失敗をしました。
それが、「リベンジトレード」という、投資家が最もハマりやすい地獄への入り口です。
今日の記事は、過去の私と同じように、損失の痛みにもがき、「なんとかして取り返したい」と焦っている人に読んでみてほしいです。
この記事を読めば、
- なぜリベンジトレードが起きるのか
- リベンジトレードがいかに危険か
- 二度と地獄に足を踏み入れないための具体的な5つのルール
が分かり、投資家人生を「失敗」から「成功」へと導く、大きなきっかけになるはずです。
第1章:あの日の地獄。私がリベンジトレードの沼に沈んだ日
あれは投資を始めて数年経った頃でした。少しずつ利益も出てきて、「私、もしかして才能あるかも?」なんて天狗になっていた時期です。
その日、私はある銘柄に自信を持ってエントリーしました。
案の定、株価は私の期待とは裏腹に下落。
「大丈夫、すぐに戻る」
そう高を括っていましたが、下落は止まらず、あっという間に含み損は5万円に。学生だった頃の私にとっては大金でした。
結果的にここで損切りすれば、まだ軽傷でした。しかし、私の頭をよぎったのは「負けを認めたくない」という強烈なプライドと焦りでした。
「ここで損切りしたら、5万円が確定でなくなる。嫌だ。取り返さないと」
冷静さを失った私は、気づけば今なら絶対にやらない行動に出ていました。
- 根拠のないナンピン買い(下落している株をさらに買い増すこと)
- 値動きの激しい別の銘柄に、より大きな金額で手を出す
もはやそれは「投資」ではなく、完全に「ギャンブル」。
モニターの数字が毎秒動くたびに、心臓が締め付けられるようでした。
そして、数時間後。
すべての取引が終わったとき、口座残高は最初に失った5万円の数倍にも膨れ上がったマイナスを計上していました。
「終わった…」
全身から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになりました。失った金額の大きさよりも、「冷静さを失い、自分で自分をコントロールできなかった」という事実が、何よりも悔しく、情けなかったのです。
第2章:なぜ私たちは「取り返そう」としてしまうのか?リベンジトレードの心理学
結論から言うと、リベンジトレードに走ってしまうのは、人間の脳に組み込まれた、ごく自然な反応です。
これには「プロスペクト理論」という行動経済学の理論が深く関わっています。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授が提唱した理論で、簡単に言うと「人間は、利益を得る喜びよりも、損失を回避したい気持ちの方が2倍以上強く働く」というものです。
例えば、
- A:無条件で10万円もらえる
- B:コインを投げて、表なら20万円、裏なら0円
この場合、多くの人は堅実なAを選びます。
では、これはどうでしょう?
- C:無条件で10万円失う
- D:コインを投げて、表なら20万円失う、裏なら何も失わない
この場合、多くの人は「もしかしたら損失がゼロになるかも」と期待して、ギャンブルであるDを選んでしまうのです。
投資における損失は、まさにこのDの状況。「損を確定させたくない」「もしかしたら取り返せるかもしれない」という強い感情が、私たちから合理的な判断力を奪い、よりリスクの高い行動(=リベンジトレード)へと駆り立てるのです。
さらに、数学的な事実も知っておく必要があります。
損失率 | 回復に必要な利益率 |
-10% | +11.1% |
-20% | +25.0% |
-30% | +42.9% |
-40% | +66.7% |
-50% | +100%(2倍!) |
-60% | +150% |
見ての通り、損失が大きくなればなるほど、それを取り戻すために必要なハードルは指数関数的に上がっていきます。50%の損失を取り返すには、資産を2倍にしなければなりません。
冷静さを失い、焦って大きな損失を出せば出すほど、生還は絶望的になる。これがリベンジトレードの、もう一つの恐ろしい真実です。
第3章:二度と地獄を見ないために。私が自分に課した5つの鉄則
あの辛い失敗から、私は猛烈に反省し、学びました。そして、二度と同じ過ちを繰り返さないために、自分だけの「ルール」を作りました。
これは、15年以上投資を続けてきた今でも、私が大切に守っているルールです。よければ参考にしてみてください。
ルール1:感情が揺れたら、まず「何もしない」
損失を出して「カッ」となった時、一番やってはいけないのが「すぐに取り返そうとすること」です。
スマホの取引アプリを閉じ、PCの電源を落とし、物理的にチャートから離れましょう。
散歩する、音楽を聴く、お風呂に入る、何でもいいです。
もうその日は、ポジションを持たない、取引しない。
投資においても「休む」ことは非常に重要な戦略です。冷静さを取り戻せば、あの日の私のような愚かな判断は避けられます。
ルール2:戦う前に「負け方」を決めておく
エントリーする前に、「いくらになったら損切りするか」を必ず決めておきましょう。
「-〇%になったら」「-〇円の含み損になったら」という具体的な数値を決め、注文と同時に逆指値注文(損切り注文)を入れてしまうのがベストです。
これは、感情が入り込む前に、冷静な自分が未来の自分を律するための仕組みです。
私の場合は、個別株の短期売買では「-5%」、長期保有銘柄でも「購入時のシナリオが崩れたら」というルールを設けています。
まず大負けしないこと。それが鉄則です!
ルール3:取引のすべてを記録する「投資ノート」をつける
なぜその銘柄を買ったのか?どこで利益確定/損切りするつもりだったのか?そして、取引中の感情はどうだったか?
これらをすべて記録する「投資ノート」をつけましょう。
私の場合は、スプレッドシートに記録しています。
これを続けると、自分の「負けパターン」が驚くほど客観的に見えてきます。
「ああ、また”このパターン”でエントリーして負けてるな」
「感情的になって、損切りルールを破った時に大損してるな」
自分の失敗を直視するのは辛い作業ですが、これ以上に効果的な成長の起爆剤はありませんでした。これは誰にでもできて、有効な方法です。
ルール4:「点」ではなく「線」で考える。長期的な視点を持つ
リベンジトレードに走る時、私たちの視野は「今日一日の損益」という極めて短い「点」に集中しています。
これを、「1年後、5年後、10年後に資産はどうなっているか」という長期的な「線」で考えるように視点を切り替えましょう。
特にインデックス投資や高配当株投資だと、日々の株価の変動に一喜一憂するのではなく、企業が生み出す利益(配当)をコツコツと再投資し、時間をかけて資産を育てていきます。
例えば、毎月3万円を年利5%で30年間積み立てると、元本1,080万円が約2,500万円に育ちます。
今日1日の数万円の損失が、30年という長いスケールで見れば、いかに小さな出来事か。そう思うことができれば、心は不思議と穏やかになります。
ルール5:失敗は「授業料」と心得る
最後のルールは、精神論かもしれませんが、大事なことです。
あの日の大失敗で失ったお金は、決して無駄ではありませんでした。あれは、「感情に任せたトレードがいかに危険か」という、何よりも重要な教訓を得るために支払った少々お高い「授業料」だったのです。
あの失敗がなければ、私は今もギャンブルのような取引を繰り返し、きっと市場から退場させられていたでしょう。信用取引で借金を抱えていたかもしれません。
もしあなたが損失を抱えてこの記事を読んでいるのなら、それはあなたが真剣に投資と向き合っている証拠です。
その痛みは、より賢く、より強い投資家へと成長させる、最高の糧になります。
まとめ:冷静さを失ったトレーダーから、心穏やかな投資家へ
リベンジトレードは、損失、焦り、プライドといった感情が生み出す、恐ろしい罠です。
しかし、その仕組みと対策を知っていれば、決して乗り越えられない壁ではありません。
- カッとなったら、まず休む。
- 戦う前に、損切りラインを決める。
- 取引を記録し、客観的に自分を見つめる。
- 短期的な損益ではなく、長期的な資産形成を意識する。
- そして、失敗から学び、それを糧にする。
投資の本当の目的は、毎回の取引で勝つことではありません。
とにかく相場に居続け、時間を味方につけて、着実に資産を築いていくことです。
今日の失敗を最高の授業料にして、明日からは共に、心穏やかな投資家としての一歩を踏み出しましょう!
「でもやっぱり投資って難しそう…」と一歩踏み出せずにいませんか?
最初の一歩は、難しい本より、まずはマンガで楽しく学ぶのが私のおすすめです。
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